昨夜DVDで「ラマン」を鑑賞しました。
恐怖映画やサスペンスばかり観ている私には珍しく、15禁の官能的な映画です。
17歳の誕生日、ある少女が三人の中年男と愛人契約を結びます。
その理由は明らかにされませんが、全体の印象からは、一種の自分探しのようなものであろうと予感されます。
ミステリアスな少女は素性を明かさず、中年男たちによってハナコと名付けられます。
男たちは、それぞれA・B・Cと記号で名乗ります。
男たちはあらゆる時、あらゆる場所で少女の肉体を求め、まるで少年のように無邪気にその遊戯を楽しみます。
そして18歳の誕生日、少女は男たちから去っていきます。
少女の偽悪めいた心のひだが、詩情豊かにつづられます。
難をいえば、男たちがはしゃぎすぎな点でしょうか。
「ラマン」といえば、1920年代のフランス領インドシナを舞台にした貧しい15歳のフランス人少女と裕福な中国人実業家の青年との性愛と交流を描いた映画が有名ですね。
こちらはずいぶん昔、映画館で観ました。
どちらも単にロリコン的関心にとどまらない文芸作品に仕上がっています。
中年になって思うのですが、少女愛にしろ少年愛にしろ、若すぎる対象を性愛の相手に望むのは、単なる性欲だけではないように思います。
かつて美しかったおのれの若かりし日を追慕する道具、という意味合いが大きいのではないでしょうか。
例えば私は少年のころ、年上のおねえさんに憧れたものです。
しかし今、40歳を越えると、逆に年若い少女に魅力を感じます。
ただそれは、性欲とはまた違うのですよね。
性交渉の相手としてではなく、ただ見ていたい、と思うのです。
それは美術品を鑑賞するようなものでしょうか。
そういえば私の知り合いの美術史家が、セクハラまがいのことをしたとき、私にこっそり言い訳したことを思い出します。
美術が好きなぐらいの人はきれいなものが好きだから、若くてきれいな女性を目にすると、ちょっかいをだしたくなるのだ、と。
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