私は友人を二人、自殺で失っています。
一人は私より一つ年上で、精神病患者の自助グループのリーダーを務めていた人です。
タイの女性と付き合っており、結婚話が出ているとかで、一時帰国した彼女を追ってタイに行き、二週間後、帰国したら錯乱状態で即入院。
そのまま精神病院の隔離病棟で亡くなりました。
統合失調症を患っていましたが、薬がよく効いて元気で、頭脳明晰でした。
彼とは酒を飲んだりカラオケ屋で騒いだなかだったのに、どうしてなんでしょう。
もう一人は私より三つ年下の職場の後輩で、とくに持病はありませんでした。
10年も前になりますか。
忙しい年度末決算のさなか、突然無断欠勤し、翌日、警察から連絡があって、某温泉旅館で自殺していたのが見つかったそうです。
彼とは一緒に出張に行ったりした仲だったのに、どうしてなんでしょう。
今日は先に紹介した自助グループのリーダーだった方の命日です。
人間は致死率100%。
放っておいても死ぬものを、わざわざ自分で死ななくても、と思いますが、そういう独特の心理状態に陥ると、自殺ということが、極めて魅力的に思えるのでしょうね。
あらゆる困難や苦痛からの完全なる脱却。
完璧な問題解決。
その気持ちは、いやというほど分かります。
私自身、うつ状態のひどい時は、体を起こすことさえ億劫で、楽な方法があれば死にたいとどれほど思ったか知れません。
今思えば、よく留まったものだな、と思います。
今は死ぬのは怖くてしかたありません。
死に親和的であったあの時期、私は半身を棺桶に突っ込んだ状態で、しかも死神は鎌の刃を私の喉元に突き付けていたことでしょう。
人が不老不死を願うことは秦の始皇帝の頃から変わりません。
始皇帝は富士山=不死山に不老不死の妙薬があると信じ、部下に薬を探しに行かせます。
しかし部下の帰りを待ちわびながら、帰らぬ人になってしまいます。
ヴァンパイアも不死のダーク・ヒーローですね。
しかし彼らは不死を苦痛にしているようです。
「銀河鉄道999」の機械の体。
「竹取物語」の最後にかぐや姫が翁に与える不老不死の妙薬。
手塚治虫の「火の鳥」シリーズの火の鳥の生血。
人は物語のなかで不老不死を夢見、追い求め続けてきました。
現代では、死の直後遺体を冷凍させ、将来の進歩した医学で生き帰り、再び生を楽しもうとする人々がいるやに聞きます。
彼らが遠い将来見事生き帰って人生を楽しめるのかどうか、神のみぞ知るというところでしょう。
近頃流行りのアンチエイジングなども、究極的には不老不死を願うものでしょう。
怖ろしい思想です。
自らの人生に早すぎる幕を引いた二人の友人の冥福を祈ります。
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