今朝の新聞では、まるで米中戦争が始まったかと見まごうばかりの巨大な見出しで、富士山及び周辺が世界文化遺産に登録されることになった、との報道がなされていました。
ずいぶん前から世界自然遺産への登録を目指しながら、ゴミが多いなどの理由で登録が見送られてきました。
これでは埒があかんと、霊峰である富士の精神性や宗教性、富士を描いた浮世絵が欧米の美術界に与えた影響などを訴えて、自然遺産ではなく、文化遺産へと路線を変更し、このたびの登録となったようです。
世界の感想は、大鵬へ死後、国民栄誉賞を贈った時の日本国民と似ています。
まだ世界遺産じゃなかったのか、ということです。
わが国ではお祝いムードですが、私はなんだか白けています。
世界遺産に登録されようがされまいが、富士山が持つ美しさや人々が富士を巨大なご神体と見て尊崇する気持ちに変わりはありません。
むしろ、観光客が国内外から殺到し、静かな霊峰が、騒々しい観光地に変わってしまうことを怖れます。
私としては、世界から懇願されても、世界遺産登録を拒否するくらいの矜持を持ってほしかったと思います。
わが国の多くの名店が、ミシュラン・ガイドへの掲載を拒絶し、欧米の美食家や料理人たちを驚愕させたように。