争いごと

思想・学問

 にわかに北朝鮮情勢が不穏になり、私は古人の知恵に学ぶべく、「平家物語」なんぞをひもときました。

 かつては琵琶法師が語って聞かせる口伝であったというごとく、七五調の、わかりやすい物語になっています。

 盛者必衰がこの世の常であるならば、永遠に続く政権などあり得ようはずもなく、独裁政権においては余計そうでしょう。

 古く、人間は争いを続け、絶えることはわずか数百年しかありませんでした。
 人の群れが敵対する群れと殺し合うこと、これは私たち人間の本能であるかのごとくです。

 冷静に考えれば、誠に馬鹿げた行為ですが、一つ一つの争いごとを見ていくと、引くに引けない、進むに進めない、八方ふさがりのような状態になると、人は死を覚悟して戦うことを選択するようです。

 これは今も昔も変わらない、人間の普遍的な思考方法であるように思います。

 そのような人間が本質的に持っている好戦的な資質を認めた上で、ではどうやって平和を維持するか、という時に、冷戦というのは実にうまく機能しました。
 つまり地球が滅んでしまう、という恐怖の共有による平和ですね。
 これは下品な策ですが、我々人間の本能に訴える力があったように思います。

 通常戦力では、軍事予算世界第5位の軍事大国であるわが国が、もう一つ軍事面で脚光を浴びないのは、ひとえに核兵器を所有していないからでしょう。
 つまりわが国は、独自に恐怖による平和を構成する国にはなっていないのです。

 しかし、核兵器は使えない兵器になってしまい、今はむしろ通常戦力の充実が求められています。

 わが国は法律と実態の解離を解消するため、憲法9条を改正しなければならないでしょう。

 私は、国際紛争を解決する手段としての戦争を禁じた第1項はそのまま残し、第2項の、前項の目的を達するため陸海空の戦力は保持しない、という文言を、前項の目的を達するため、自衛のための軍事力を保持する、と改めるべきだと思います。
 だって、すでに精強な軍隊をわが国は保有していますからね。

 そうでないと、国の最高法規に抵触する恐れのある軍隊の存在を、何をもって権威付けすべきか、分からないからです。

 そうでなかったら自衛隊の全廃しかありませんが、そのようなことは、政府の最重要な仕事である国民を守る、ということを放棄することになり、それはもはや国家とさえ言えるものではない、単なる共同体です。

 一時期のような、左翼かぶれの9条絶対護持なんていう石頭は大分減りました。

 社会党も村山首相の時自衛隊の存在意義を認めましたし、朝日新聞も自主憲法制定に舵をきりました。

 時は熟しているように思います。

 盛者必衰とは言いながら、できることならいつまでも栄えていたいものですね。
 それには、先進国の一つとして、軍事分野の責任も果たさなければなりません。

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