人にはとかじ

文学

 今日もまた、季節を先取りしたような涼しい一日でした。
  こういう季節外れなら、大歓迎ですねぇ。

  最近には珍しく、今日はなんとなく調子の良い日でした。

 これを維持したいものです。

 神秘(じんぴ)そも 人にはとかじ 氷室守

 与謝蕪村の晩夏を詠んだ句です。

 かつて製氷技術が無かった時代、冬の間にできた氷を融かさず保存するための施設がありました。
 それが氷室。

 氷室を維持管理するのが氷室守。
  夏には氷室から氷を江戸に運んだりしたそうです。
  氷は大層貴重であったものと思われます。

  そしてその貴重さゆえ、氷室は神秘的存在としてとらえられ、氷室守は氷室を維持管理するのみならず、氷室の神秘を守るべき存在でもあったのでしょうか。 

 不気味なような、涼しいような、不思議な味わいをもった句ですね。 

 氷は将軍家に献上されるのみならず、玉川上水の水に氷を浮かべて氷水を売る水屋という商売があったとか。

 しかし必ずしも衛生的とはいえず、年寄りなどはよく腹をこわしたため、年寄りの冷や水という言葉が生まれたとも。

 私は氷をガリガリかじってしまうようなワイルドなことをよくしますが、腹をこわしたことなどありません。

 衛生的な、良い時代になったものです。 

 もうじき冷たい飲み物よりも熱いコーヒーなどが恋しい季節になりますねぇ。

 嬉しいような、寂しいような。 

 でもまぁ、涼しくなって体が楽なのは間違いありません。

 この調子で行きたいものです。

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