人同じからず

文学

 4連休あけ。
 まるっきり仕事をしようという気になれません。

 とりあえず今日中にやらなければいけないことだけを、下の者に指示してやらせることにしました。

 私はチェックだけ。

 しかしそのチェックですら億劫です。

 多分それをやることを指示された若い職員も、今日はやる気がないでしょうから、厭でしょうね。
 しかし、若いうちの苦労は買ってでもしろと言いますから、ここは教育だと思ってやらせるしかありますまい。

 現に私自身、若いころはずいぶん実務をやらされました。

 何事もそうですが、漢詩にあるように、年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず、というのが、この世の倣い。

 同じような花が毎年咲くけれども、去年と全く同じではないし、同じように学生がいたりサラリーマンがいたりするけれど、昨年の人ではない。

 組織には若い人から中高年までいて、しかし、それは入れ替わっていきます。
 定年を迎えて職場を去る人と同じ時期に新人も入ってきます。
 いわゆる世代交代。

 世代交代によって、わが国ではほぼ年功序列によって、出世する組織が多いようです。

 私は若い頃、50歳にもなったらすっかり仕事に慣れ、神経も図々しくなって、怖いもの無しになって、気楽にサラリーマン生活を送れるのだと信じていました。

 しかしそれは、逆でした。

 若い頃のほうが、責任が無くて気楽だし、上司に食ってかかっても、若気の至りで済んでしまう。
 大酒飲んで吐いてしまっても若気の至り。
 便利な言葉です。

 しかし中高年にいたると、何事も怖くなります。

 仕事の失敗も怖いし、部下が言うことを聞かなくなるのも怖い。

 精神病で長く休んでしまったことをもって差別されるのも怖い。

 なぜか車の運転も怖くなり、緑内障により右目が失明するのも怖い。

 怖いものだらけです。怖いものだらけになってしまった世の中を渡っていくのはしんどいものです。

 経験を活かし、中高年らしい余裕を持って仕事に向かいたいものです。
 怖がっていてもつまらないですからねぇ。