研修の一環で、放送大学の今日のメンタルヘルスという科目を履修しています。
じつは10年ほど前、放送大学で単位認定試験や通信指導の事務を担当していたことがあり、放送大学のずさんさは知りつくしています。
通信指導をやると一度に30万通もの答案が送られてきて、50名ほどのアルバイトを雇ってさばきました。
しんどかったですが、若かったせいか、メンタルをやられることは無かったですねぇ。
年配の学生が多く、クレーマーもずいぶんいました。
入学試験が無く、高校を卒業していればだれでも正規生として入学でき、卒業すれば学士様というわけで、若い頃なんらかの事情で進学できなかったけれど、勉強したい、というおじちゃん、おばあちゃんが多く、だからこそ放送大学に過剰の期待を寄せ、入学して見たらこんなはずじゃなかった、ということになったんでしょうね。
一方で、辛口の評論家、佐高信は著書であらゆる特殊法人を検証し、数ある特殊法人のなかで放送大学だけが存在意義を認められる、とべた褒めしていました。
放送大学の実状を知らないんでしょうねぇ。
よく理事長が、世界に例を見ない、世界唯一の放送による正規の大学だ、なんて大見えをを切っていましたが、裏を返せば不可能な事業だからよその国には存在しないのでしょう。
10年前、私とその同僚は、不可能を可能にする虚しい努力を続けていたように思います。
うつ病で倒れる者、胃潰瘍や十二指腸潰瘍で倒れる者、失踪する者、自殺者などが続発する、怖ろしい職場でした。
私の業界では、放送大学への異動を人さらいと言って怖れていました。
放送大学で3年間を無事勤めあげ、千葉大学に異動して、直後法人化の波が押し寄せ、そこで私はついに精神疾患に倒れたというわけです。
放送大学での勤務を終えたのが平成15年3月末日。
10年も経って、今度は研修で科目履修生になり、感慨無量です。
それも履修科目は今日のメンタルヘルス。
復職前、千葉障害者職業センターのリワーク・プログラムに3カ月通ったり、自助グループに参加したり、自分で関連書を読んだりして、予備知識が豊富なおかげで、今日のメンタルヘルス、すんなりと頭に入ってきます。
しかし印刷教材(教科書)はともかく、放送教材(放送講義)はおそろしく退屈ですねぇ。
職場の研修ということで、印刷教材と放送教材のDVDが与えられているので、いつでも放送を見ることができますが、なんだか印刷教材だけ読めば良いような気がします。
![]() | 今日のメンタルヘルス (放送大学教材) |
石丸 昌彦 | |
放送大学教育振興会 |
![]() | 総検証「特殊法人」の真実 (講談社SOPHIA BOOKS) |
佐高 信 | |
講談社 |