そろそろ年度末が近づいてきました。
程度の差はあれ、どこの部署も猛烈に忙しくなる季節です。
かつて、どうやったら小説を書けるのか、と聞かれた作家が、「締切があるから」、と頓珍漢な返答をしているのを見たことがありますが、これ、結構正直なところじゃないでしょうか。
役人の世界で年度末が忙しいのは、平たく言えば締切が近づいているということです。
お尻に火が付かないと本気が出ないのは、作家も役人も同じものと言えます。
いや、人間の真実なのかもしれません。
そもそも人間というもの怠け者にできていて、強制的にやらせなければ働かないという。
会社でも同じことでしょうが、役人の世界には職務専念義務というのがあって、副業は禁じられています。
体を休めたり趣味を楽しんだりするのは、仕事の能率を上げるためという理屈です。
嗤うしかありません。
話が逆です。
休んだり趣味を楽しんだりするために働いているのであって、主客が逆転しています。
また、50代の私が言うのも変ですが、どこの職場にも働かないおじさんというのが存在します。
私の職場にも強烈なやつがいて、一応、それなりの立場にあるのですが、部下にすべてを押し付けて、他部署の職員や上司から仕事の話を聞かれても、「今日は○〇君が休んでいるから分からない。明日〇〇君に回答させる」なんてふざけたことをほざきよります。
だから当然、誰も相手にしなくなります。
それすら楽だとばかりに喜んでいるのですから、付ける薬はありません。
仮に実務を担当しているのが部下だとしても、その内容を把握し、部下を適格に指導するとともに、他部署や上司に対しては、自らが盾となって部下を守るのが本当なのではないでしょうか。
私はカッコつけなところがあって、どうしても「部下に回答させる」なんて無様なセリフは吐けません。
だから精神を病んだのかもしれません。
仕事を部下や他部署にふることも重要ですから。
なんでも自分でやろうとする悪い癖があって、それは他人を信頼していないとも言え、最近はなるべく仕事をふるようにしていますが、思い癖はなかなか治りません。
病気休暇から完全復帰して13年がたちます。
若い職員は私がかつて精神障害で長期にわたって休んでいたことなど知りませんし、知ったら驚くと思います。
若いころは想像もしていなかった仕事を優先するおじさんになってしまいましたから。
しかしそれは立場上の義務感ゆえであり、仕事が楽しいわけでもなんでもありません。
むしろ仕事は苦役であり、だからこそお金を貰えるのだと思っています。
働かないおじさんになって、部下や同僚からさんざん陰口をたたかれても、それはきっと本人も気付いていると思いますが、喜々として出勤してくる神経が私には分かりません。
それに暇というのも案外辛いものです。
多分ネットサーフィンでもやって一日を過ごしているのだと思いますが、あんな者を血税を使って雇うなんて馬鹿げています。
そして少し、羨ましくもあります。
堂々と働かないおじさんになって生きていければ楽なのに、とも思います。
仕事は忙しい人に頼め、と聞いたことがあります。
怖ろしい言葉ですが、忙しいということは信頼されている証でもあり、きっとテキパキとこなしてくれるはずだという期待があるのでしょうね。
働かないおじさんになるのも嫌ですが、あんまり頼られるおじさんにもなりたくありません。
ちょうどよいというのはなかなか難しいものですね。