昨日は午前中、一週間分の食料の買い出しに行った他は静かに読書をして過ごしました。
芹沢央という作家の「僕の神さま」という小説です。
小学校5年生の僕が主人公で、冷静沈着、何事もすらりと解決してしまう神さまとあだ名される少年との交流を描いています。
春・夏・秋・冬・エピローグという構成の連作短編集の形式を取っています。
春の章は少年らしい心の揺らぎを描いたほのぼのしたもの。
しかし夏・秋・冬と、異常に絵がうまい転入生の少女が、大酒飲みでパチンコ中毒の父親に苦しめられていることが語られ、ついには父親を事故に見せかけて殺害することを夢想していることが判明します。
これに対し、神さまとあだ名される少年はそれを肯定し、僕を愕然とさせます。
少女は児童保護施設への保護を希望しますが、施設から出ると父親は施設の管轄外の地域に引っ越してしまいます。
こんなことを繰り返しているのです。
少女は転校していきますが、その後父親に殺されたという噂が広がり、さらには少女の怨霊が学校に存在するとまで拡大し、少年少女たちを恐怖に陥れます。
総じて少年少女たちの瑞々しい感性を感じさせますが、それは怖ろしいものでもあります。
内容はこの小説と全く異なりますが、かつてコクトーが「恐るべき子供たち」という名作を残し、これは映画化もされています。
少年少女というものは感受性が強いがゆえに残酷にもなり、無知ゆえに危険な行動に出るものです。
この小説は、平易で分かりやすい文章で、思春期に入ろうとする子供たちの怖ろしさや純粋さを見事に切り取ってみせた佳品であると感じます。