元群馬県警警部補懲戒免職処分取消請求訴訟

社会・政治

 先週、上のタイトルの判決が前橋地裁でありました。
 結果は、原告の言い分を完全に却下するものでした。

 竹原前阿久根市長の元で阿久根市役所総務課長を務めた大河原宗平氏の事件です。

 これ、よく分からないんですよねぇ。

 ①1996年に当時勤めていた警察署の会計係長から捜査協力者への謝金を支払う際の領収書を書かされた。
 ②10日ほど後、また同じような書類を書かされた。その際、会計係長に何に使う書類か説明を求めたが、「まあまあ、いいから、いいから」と誤魔化された。
 ③その四ヶ月後、単身赴任で捜査権のない交番勤務を命じられた。
 ④2003年11月、テレビ局の警察による裏金告発番組に協力した。
 ⑤2004年4月、ナンバープレートを偽装した車を使用していた大河原氏から群馬県警の警官が車を差し押さえようとした際、偽装ナンバープレートを外した行為と警官に体当たりした公務執行妨害で大河原氏が逮捕された。
 ⑥大河原氏は起訴猶予となったが、懲戒免職された。
 ⑦2008年、大河原氏は冤罪だとして損害賠償と県警への復職を求めて提訴。
 ⑧2011年5月9日、裁判所は体当たりの事実はないと認めたが、偽装ナンバープレートを外す行為による懲戒免職は妥当として大河原氏の提訴を却下。

 以上が事実関係のようです。

 でも、謎の領収書は何に使われたのか、また、裏金作りだったらなぜ会計係長は自分で書かなかったのか。
 交番勤務への異動はテレビ局への協力の7年も前であり、嫌がらせのための左遷というには、県警の裏金作りを追及した形跡がない、むしろ左遷されたから追及を始めたように見える。
 なぜ大河原氏はナンバープレートを偽装したのか(本人は警察が自分を追い詰めるために監視しており、Nシステムとよばれるナンバープレート自動認識装置から逃れるためだったと主張)。

 で、大河原氏は県警への復職を求める裁判の最中に阿久根市役所総務課長に就任したことにより、この事件は大きく取り上げられることになりました。

 もやもやしますねぇ。

 県警も灰色なら大河原氏も灰色。

 警察は悪だ、役人は悪だ、組合も報道機関もみな悪だ、というのが竹原前市長の日ごろからの主張。
 それに気づけ、騙されるな、とヒステリックに叫んでいますが、合法的な組織がまるまる悪だなんてことはあり得ません。
 どんな組織であっても、良い面もあれば悪い面もあります。
 もし竹原前市長が言うことを信じたなら、ある職種に従事する者全員を悪に仕立て上げ、それらの職種に従事しない者は一方的に正義である、という思考停止に陥ってしまいます。

 役所やマスコミ、大規模宗教団体などの巨大な組織は、影響力も大きく、腐敗が発生すれば巨大になる可能性が高く、それは批判されるべきですが、存在自体が悪であるかのような言い分は、正気の沙汰とは思えません。

 悪だとか正義だとかいうことを、大真面目に語るやつの言うことは、話半分に聞いておくべきでしょう。
 世の中ほとんど灰色なのですから。
 

現職警官「裏金」内部告発
仙波 敏郎
講談社   ⇒大河原氏とともに阿久根市役所に招かれた仙波副市長の著作です。

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