長かったですねぇ。
光市のアパートで23歳の母親が殺害されて屍姦され、11ヶ月の赤子を床にたたきつけた上で首を絞めて殺害。
被告は事件当時18歳だったことから、逮捕されても死刑になることはなく、6~7年で娑婆に出られると踏んでいたようです。
逮捕当時、被告が知人に宛てた手紙には、慄然とさせられます。
・終始笑うは悪なのが今の世だ。ヤクザはツラで逃げ、馬鹿(ジャンキー)は精神病で逃げ、私は環境のせいにして逃げるのだよ、アケチ君。
・無期はほぼキマリ、7年そこそこに地上に芽を出す。
・犬がある日かわいい犬と出会った。・・・そのまま「やっちゃった」・・・これは罪でしょうか?
ところが、被告には大きな誤算がありました。
残された旦那の本村さんが、必ず被告を死刑にするという決意のもと、刑法や過去の判例を猛勉強し、テレビやマスコミに露出して世論を死刑へと誘導していったのです。
その表情は侍のように厳しく、乱世を生きているかのごとく非情なものでした。
しかし1審・2審とも無期懲役。
被告が犯行時少年であったことが考慮されたものと思われます。
最高裁は死刑を回避する合理的な理由がないとして審理を2審に差し戻します。
実際には、この瞬間、被告の命運は尽きたというべきでしょう。
差し戻しの2審で死刑、今回の最高裁で死刑と、本村さんが描いたとおりに裁判は進みました。
被告は死刑を逃れたい一心なのか、奇妙な供述を始めます。
強姦目的ではなく、年上の女性に甘えたいために抱きついたが、暴れたのでつい手が出てしまったとか、屍姦したのは生き返らせるための儀式だったとか、ドラえもんが助けてくれると思ったとか、明らかに精神鑑定を願っている風でした。
しかしそんなことは、本村さんの術中にはまった末の苦し紛れのもがきにしか見えませんでした。
18歳という年齢に甘えたゆるい法廷戦術は、非情な侍、本村さんの鋭い刃をかわせるものではありませんでしたね。
本村さんは日本全国に顔を知られ、それまで表に出ることがほとんどなかった犯罪被害者のケアという問題を鋭く提起するまでになりました。
広い意味で、被害者遺族の法廷での証言や、裁判員制度施行に道を開くきっかけになったといえましょう。
テレビは死刑確定を受けて、一斉に被告を少年Aから実名の大月孝行として報道を始めました。
顔写真も報道し始めました。
犯人18歳の時に犯した人殺しが、30歳になって、やっと、どれほど重い罪なのかを知らしめました。
私は本村さんが燃え尽き症候群になるんじゃないかと心配です。
きっと今まで、憎い犯人を死刑にしてやる、という強い思いだけが、彼を支えてきたように見えますから。
私は大学生の頃から、死刑制度は廃止すべきだと考えています。
しかしそれは法的に正しい手続きを経て刑法が改正されて後のこと。
現行刑法が生きている以上、現行刑法にのっとって、死刑にすべき事案は死刑にするのが法治国家の基本です。
死刑廃止を求める団体なんかが、現在130人くらいいる死刑囚の執行停止を求めるのは間違っているでしょうね。
これから起きる凶悪犯罪に死刑を適用できないように刑法を改正すべく働きかけるべきであって、過去の死刑囚を減刑するのでは、厳正な裁判の結果をゆがめることになってしまいます。
法の精神として、日本国家は、自衛以外には、どんな凶悪犯でも殺さない、という覚悟を示すことが重要であると考えています。
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