全方位恫喝外交

社会・政治

 またもや中国が国際的な問題を起こしましたね。
 今度は世界最小国家ながらキリスト教カトリックに強い影響力を持つバチカン。
 なんでもバチカンが認めない中国政府公認のキリスト教組織の司教任命式に中国政府が多数の司教を無理矢理出席させたとか。
 バチカンはカンカンのようです。
 テレビでバチカンの幹部が中国はバチカンに宣戦布告する気か、と息巻いていました。
 中国に公認のキリスト教組織があるとは知りませんでした。
 チベット仏教のように中国政府が認める組織と非合法な組織があるのですね。
 英国国教会のようなものと理解すればよいのでしょうかね。

 それにしても中国は相手かまわず恫喝するのですね。
 よほど自国の力に自信を持っているのでしょう。
 13億の人口、巨大な軍隊、世界第2位となった経済力。
 しかし私は、中国は意外にもろい国だと思っています。
 近代以降、中国は独自の戦力で勝利をおさめたことがありません。
 アヘン戦争、日清戦争。
 第二次大戦にしても、中国が勝ったというより、米英ソ等の勝ち馬に乗ったというに過ぎません。

 それを何をとち狂ったのか、まるで世界最強のような面をして、あっちでもこっちでも喧嘩して、正気の沙汰とは思えません。
 中国と日本とを問わず、政治はリアリズムであるべきだと思います。
 日本では八紘一宇とか大東亜共栄圏とか、戦後は非核三原則とか非武装中立とか、中国では共産主義とか、理想を追い求めることに汲々としていては、徒らに国民を不幸にするだけです。
 冷静に彼我の国力差を見極めて、嘘でもいいから時代のスタンダードに立った政権運営を行わなければ、どんな国でも孤立し、破滅への道を突き進むでしょう。
 ちょうど日本が戦前、国際連盟を脱退して孤立を深め、勝ち目のない戦に突き進んで滅んでしまったように。

 バチカンには軍隊がありませんから、バチカンが戦争をすることはあり得ませんが、かつて公然とナチス・ドイツを支援したように、バチカンには政治力があります。
 世界の10億を超えるカトリックの総本山を敵にまわして得るところはありません。
 それにしてもバチカン、小なりとはいえ、気骨がありますね。
 

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大澤 武男
文藝春秋
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