蝉は地上に出て七日で死んでしまうとか。
それなら八日目の蝉は、長生きを寿いで思い切り鳴くでしょうか。
それとも同期の仲間がみな死んでしまい、一人残されたわが身を呪って悲嘆の涙にくれるでしょうか。
それは心々。
蝉ではない、人の身の知れたことではありますまい。
角田光代のベストセラー小説「八日目の蝉」の映画版が、早くもDVD化され、早速鑑賞しました。
女優陣が豪華ですねぇ。
井上真央に小池栄子に永作博美。
生まれてすぐ、父親の愛人、キワコに誘拐されてしまったカオル。
カオルは誘拐犯を母親と信じ、過剰な愛に守られて育ちます。
駆け込み寺的な女性ばかりのカルト教団に保護を求めたり、ちょうどオウム事件の頃で、そのカルト教団に警察の捜査が入ることになり、逃走したり。
カルト教団で仲良くなった女の実家、小豆島の素麺屋を訪ね、そこで雇ってもらい、しばし幸せな日々を送ります。
しかしそこも結局はみつかって、カオル4歳のときに誘拐犯はお縄に。
実の両親のもとに引き取られますが、母親と折り合いが悪く、高校卒業と同時に家を出ます。
映画はカオルが誘拐犯として過ごした幼児期と、現在の大学生としての生活が、交互に描かれます。
そしてカオルは、誘拐犯と同じように、不貞の子を宿してしまうのです。
不倫相手の子を誘拐した犯人、夫の不倫に耐え、なつかない娘に苛立ち、精神を病んでいく母親、何者でもないと考えるカオル。
女の情念が渦巻き、私には並のホラーよりはるかに怖ろしく感じました。
良い意味でも悪い意味でも、女流作家らしい大作です。
![]() | 八日目の蝉 通常版 [DVD] |
井上真央,永作博美,小池栄子,森口瑤子 | |
アミューズソフトエンタテインメント |
![]() | 八日目の蝉 (中公文庫) |
角田 光代 | |
中央公論新社 |
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