冬ごもり

文学

 デートがある日に急ぎの仕事が入った場合、仕事とデートのどちらを優先しますか、という質問に、なんと7割以上が仕事と答えたそうです。
 この不景気のご時世、恋愛沙汰に浮かれていては職を失う、という危機感が強いのでしょうか。

 その昔、バブルの頃にクリスマスイブに豪華なデートを楽しむのが当然という悪しき風潮がはびこり、なかにはデートのハシゴをする猛者まで現れました。
  学生だった私は異教の祭りに参加する気はなく、部外者として世の浮かれぶりを傍観していました。
 当時は恋人がいるかいないかがその人の人間的価値を決める尺度であるかのようなことを言うやつがいて、嗤わせてもらったものです。

 師走に入って、町はクリスマスムードが盛り上がってきました。
 プレゼントを楽しみにしている子どもたちには待ち遠しい日でしょう。
 肩の力が抜けた中年になった私は、異教の祭りだと目くじらを立てず、華やかなイルミネーションを楽しんだり、シャンパンを飲んだりします。
 それにしても師走に入ってから暖かい日が多いですね。
 
 冬は寒いほど詩情豊かになるというもの。
 暖かい冬というのは間が抜けていますね。

 
葱買うて 枯木の中を 帰りけり

 
うずみ火や 我かくれ家も 雪の中

 
私が敬愛する与謝蕪村の冬の句です。
 本格的な冬がきたら、暖かい我が家で、熱燗をやりつつ蕪村全集を読むのが楽しみです。

郷愁の詩人 与謝蕪村 (岩波文庫)
萩原 朔太郎
岩波書店
蕪村俳句集 (岩波文庫)
尾形 仂
岩波書店
俳人蕪村 (講談社文芸文庫)
粟津 則雄
講談社


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