冬至が過ぎて4日経ちました。
銀杏の葉は散ってしまい、紅葉を楽しむこともできない、真冬ですね。
しかし少しずつ日が伸びていくと思うと心躍るものがあります。
17時を過ぎると真っ暗。
定時で職場を出ても真っ暗なのは嫌な気分です。
神な月 風に紅葉の 散る時は そこはかとなく 物ぞ悲しき
「新古今和歌集」に見られる藤原高光の和歌です。
今となっては、葉は完全に散ってしまい、散る葉にもの悲しさを感じることもできません。
首都圏ではそうでもありませんが、北国の人々にとってはまさに死の季節かもしれませんねぇ。
冬枯の 森の朽葉の 霜のうへに 落ちたる月の 影のさむけさ
同じく「新古今和歌集」の藤原清輔朝臣の和歌です。
こちらはまた震え上がるような寒さを感じさせますねぇ。
しかし、その寒さが、凛とした空気を招いて、冬らしい清浄な感じを醸し出してもいます。
私は冬の凍えるような空気に清浄を感じ、わりとこの季節を好んでいたのですが、年のせいか、体重が落ちたせいか、今年は冬の寒さがこたえます。
布団から出るのが一苦労です。
昔思ふ 庭にうき木を つみおきて 見し世にも似ぬ 年の暮かな
またまた「新古今和歌集」の西行法師の和歌です。
年の暮れに感慨に耽るのは誰しも経験したところだと思います。
繰り返しのように思える一年。
そして毎年同じような年の暮れ。
しかし昨日と同じ今日はなく、今日と同じ明日もないのと同様、同じように見えてじつは同じ年の暮れなどありえようはずもありません。
一年365日を生きれば、それはあっという間のように思えて、じつは様々な出来事が起こり、それは気が遠くなるような年月の積み重ねであるに違いありません。
あと2日通えば年末年始の休みに入ります。
最終日に会議が入ってしまったのは痛恨事ですが、それもなんと言うこともなく過ぎてしまうでしょう。
だからと言って今の私には、何の感慨もありません。
何が起ころうと、人生はまだまだ続くのでしょうから。
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小林 大輔 | |
角川学芸出版 |