園子温監督渾身の力作「冷たい熱帯魚」を昨夜鑑賞しました。
146分の大作ながら、長さを感じさせない、暴力と性、ブラック・ユーモアを包含した毒々しい大人のエンターテイメントに仕上がっています。
いわゆるアダルト作品として作られた映画ではありませんが、そのあまりの毒気ゆえ、18禁の指定を受けたそうです。
小さな熱帯魚店の店主、社本は、ふとしたことがきっかけで大型熱帯魚店を経営する岡田と出会い、親交を深めます。
社本は後妻と折り合いの悪い娘を岡田の店で雇ってもらい、寮に預けます。
明るく楽しい社交的な好人物に見えた岡田。
しかし岡田は、おのれの欲望のためなら殺人をも厭わない恐るべき人物だったのです。
岡田の犯罪に協力させられ、次第に犯罪や暴力への垣根を失くしていく社本。
岡田とその妻は社本を助手にして次から次へと殺人を犯していきます。
岡田が殺人のことを、「ボディを透明にしちゃう」と笑顔で表現する芝居は鬼気迫るものです。
すなわち、ばらばらにした上で骨と肉を分け、肉は一口大に切り刻んで山奥の川に捨てます。
すると魚が食べてくれます。
骨はがんがん燃やしてから砕いて灰にし、山中にばらまいてしまいます。
そうするとボディが透明になっちゃう、というわけです。
警察は岡田の周辺から次々に行方不明者が出ることに疑惑を抱いていますが、死体が見つからないので殺人を疑えません。
なんと岡田夫妻は社本と出会う前に50人以上の殺人事件を起こしてきたと、自慢げに語ります。
普段好人物や庶民を演じて見ない日はないくらい様々な役を演じている名脇役、でんでんが、今作では岡田を演じて観る者を圧倒します。
そして気の弱い社本が段々暴力に目覚めていく様を演じて不気味な吹越満。
いずれ劣らぬ役者たちが、園子温監督の強烈な演出に応えています。
生まれついての殺人カップルとしてマスコミを賑わせた男女を描いた「ナチュラル・ボーン・キラーズ」の日本版と言ったら園監督に失礼でしょう。
「ナチュラル・ボ-ン・キラーズ」よりもはるかに高い完成度とエンターテイメント性を兼ね備えています。
文句なしにお勧めできる一作です。
是非ご覧ください。
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