処世術

仕事

 今日は先帝陛下誕生の良き日。
 昭和の日としてご遺徳を偲ぶのは日本人として意義深いことと言えましょう。

 折りしも世間はゴールデン・ウィーク。
 陽気もすっかり初夏めいて、世間は浮かれるばかりです。

 私はと言えば、4月に異動して一ヶ月、今もなお暗中模索の状態で、それがため憂色濃い日々をやり過ごしています。

 就職したばかりの頃、10年も働けばあらゆることに慣れて、仕事が理由で憂鬱になることなどないのでは、と期待していました。

 しかし、木っ端役人生活24年目を迎えても、嫌なことは尽きないもので、今も仕事に慣れることができずにいます。

 よほど仕事が向いていないようです。

 一つには、電子計算機の発達により、コンピューターのシステムは日々更新され、性能が上がったと言っては人が減り、その現実についていくのが困難なことが挙げられます。

 コンピューターは便利な道具ですが、それを使うのは生身の人間。
 中途半端に頭の良い人が作ったシステムには苦しめられます。

 今はe-Rad(府省共通研究開発管理システム)というのに苦しめられています。

 国立大学などの大きな機関では、同じシステムを使って仕事をする職員が大勢いて、自分よりシステムをいじった経験の長い職員に、年齢の上下は関係なく、教えを請うことができます。
 しかし私は教職員200名ほどの小さな機関に勤めているため、e-Radを使っている事務職員は私ただ一人。
 前任が残した引継書、それに膨大な量のマニュアル、さらにはe-Radのコールセンターに問い合わせたりして、おっかなびっくり進んでいます。

 研究費・及び管理費の申請から交付などを扱っていて、お金の管理はミスが許されず、厳しいものです。
 私のようなベテランではなく、飲み込みの早く、コンピューターにも強い若手に任せたほうがよろしいと思いますがねぇ。

 つい愚痴っぽくなってしまいましたが、不思議なことに、精神的には全然やられていません。
 アフター5も休日も楽しめています。
 ONとOFFの切り替えが上手になったのかもしれませんね。

 それだけが、私が23年かけて会得した処世術なのかもしれません。

 先帝陛下は国民が愚痴をこぼすことなど快く思わないでしょう。
 せめて今日というお休みを楽しむよう心がけましょうか。