処暑

文学

 今日は処暑ですね。
 二十四節気では、暑さがゆるむ頃。
 そうはいっても昨日までの涼しさが嘘のように、気温が上がっています。

 今日は珍しく、昼休みのひととき、漢詩をひもといてみました。

 学生時代、必修の漢文学概論というのが非常に厳しく、返り点なしの白文で読めるようにならないと単位がもらえないということで、かなり勉強したのですが、一年目は単位を落としてしまい、それがトラウマになったのか、その後漢文は敬して遠ざけてきました。

「秋夜将に暁けんとし、
籬門を出でて涼を迎ふ、感有り」
 
迢迢たる天漢 西南に落ち
 喔喔たる隣鶏 一再鳴く
 壮志 病んでより来(このかた) 消えて尽きんと欲す

 門を出で首を掻いて 平生を愴(いた)む

  原文だと読みにくいので、書き下し文に直しました。

  
私なりに訳してみると、以下のような意かと思います。

 
はるか遠くの銀河は西南の空に落ちていき
 コッコッと隣の家の鶏が一声二声と鳴いている。
 国を憂う、まだ壮年の私だが、病気をして以来、どうにも気力が出て来ない。
 門を出て頭を掻きながら、人生を悲しむより他はない。


 南宋(平安後期)頃の代表的な詩人、陸游の漢詩です。
 たいそうな国士だったそうですが、出世できず、その悲哀が詩に表れていると言われています。
 季節が夏から秋に替わる頃、心細くなったのでしょうか、上記のような詩を詠んでいます。

 春の春愁、秋の秋思、とか申します。

 人はなぜ、夏にせよ冬にせよ、過酷な季節をやり過ごすと、メランコリックな物思いに沈むのでしょうね。
 待ちかねた季節であったはずなのに。

  私は春の憂鬱な気にあてられると、一気に気持ちがふさぐのですが、秋の物思いはむしろ心地よく感じます。

 もう、秋はすぐそこですねぇ。

陸游詩選 (岩波文庫)
一海 知義
岩波書店
漢詩をよむ 陸游100選 (NHKライブラリー)
石川 忠久
日本放送出版協会

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