半夏生(はんげしょう)

文学

 今日から7月。

 まだ本格的な暑さは先のようで、私は長袖で出勤しています。
 職場で長袖着用の男は、ごく少数派になってしまいました。
 でもまだ半袖では心細いような気がします。

 明日は半夏生(はんげしょう)

 半夏という薬草が生えるころ。カタシログサという草の葉が名前の通り半分白くなって化粧しているようになるころとも言われています。



 この日までに農作業は一段落し、しばし、農家のみなさんはお休みを楽しめるのだとか。

 また、この日は天から毒気を含んだ雨が降るとかで、井戸などに蓋をしたそうです。
 さらに、熊野などではハンゲと呼ばれる魑魅魍魎が跋扈する日ともされ、必ずしもおめでたい日ではないようですね。

 汲まぬ井を 娘のぞくな 半夏生

 
江戸期の俳人、池西言水の俳句です。

 なんとなく禍々しいというか、不気味な趣の句ですね。

 この時期、湿気が高く、食い物は腐りやすいし、洗濯物は乾かないし、なんとなく不快だし、それらの要素が、半夏生を好ましからざる時季と捉えたものと思われます。

 しかしそんな不快な季節をも、不気味とはいえ趣があると感じてきたわがくにびとの心性に、深く心を打たれます。

池西言水の研究 (研究叢書)
宇城 由文
和泉書院

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