私は母が四歳のときに長崎で被爆した被爆二世です。
で、母は被爆者手帳を持っています。
これを持っていると、都営交通が無料だったり、様々な恩典が受けられるのです。
母はぴんぴんしていますし、被爆から65年もたっているのですから、そのような優遇措置は不当なものですが、被爆者団体が組織としての圧力を維持するために、なるべく手帳保持者を多く保ちたい、という考えのようです。
また、被爆者の一割は朝鮮半島から連れてこられた人々だと言いますが、彼らには日本政府からの優遇措置はありません。
日本に居住していれば手帳を受けられますが、朝鮮半島に帰国してしまえば、手帳の効力は失効します。
しかも朝鮮半島の人々は被爆後、避難できる親戚もなく、そのまま爆心地近くに留まったため、日本人以上に悲惨な最期を遂げたそうです。
爆心地近くで目をカラスに突かれた遺体があれば、ほぼ朝鮮半島の人だったとか。
遺体を処理してくれる親族や友人がいなかった、ということでしょう。
朝鮮半島の被爆者にとって、手帳はフェティシズムの対象となってしまいました。
日本人被爆者のフェティシズムといえば、千羽鶴でしょう。
被爆から10年後に急性白血病に犯された少女が、千羽鶴を折れば治る、と信じ、644羽折った後、急死しました。
彼女をモデルに「原爆の子の像」が広島平和公園に建てられ、年間1000万羽に及ぶ折り鶴が供えられます。
2003年8月、某大学生が鶴に火をつけ、燃やしてしまうという事件がありました。
たかが折り鶴ですが、学生が在学する大学の学長が9万羽の折り鶴を手に謝罪に来たとか、反核の動きが盛り上がった、とか、折り鶴はたかが折り鶴ではなく、或る種の呪いの力を持ったフェティシズムになりました。
そしてヒロシマ・ナガサキとカタカナで表記すれば、それはそのまま反核平和のフェティシズムであり、今だにわが国で強い魔力を持った呪いの言葉ですね。
一人米国への呪いだけではなく、有史以来殺し合いを続けてきた人間の歴史そのものに対する呪いです。
人を呪わば穴二つ。
日本人に今も残る根深い反核平和意識は、結局のところ先の大戦をきっかけとした戦争被害への恨みつらみが原点だと思われます。
私はこの反核平和の呪いは、きっかけ一つで軍国主義に転換するだろうと思っています。
反核平和と軍国主義はおのれが正しいと思う、その独善がよく似ています。
左翼が右翼に簡単に転向するように。
反核平和と軍国主義は双子の兄弟。
この兄弟を厳しくしつける父親はいないんでしょうかねぇ。
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