ノルウェーで政府庁舎を狙った爆弾テロが起きた数時間後、オスロ近郊の市まで銃乱射事件が起こったそうですね。
死者は両事件で92名にも及ぶとか。
テロや紛争とは無縁なイメージが強い北欧の国でこのような凶悪な事件が起きるとは意外です。
犯人は同一人物とみられ、キリスト教原理主義者で右翼的思想の持ち主とみられているらしいですね。
最近テロというとイスラム過激派の専売特許のようなイメージがありましたが、キリスト教原理主義も怖ろしい存在であることを知らしめました。
思えばオウム真理教も事件を起こす前は原始仏教に近いとされ、多くの宗教学者や人類学者から賞賛されていました。
今となっては地下鉄サリン事件をはじめとするオウム真理教が起こしたテロ事件の思想的背景を仏教に求めようとする者はいませんが、少なくとも彼らはかつて、仏教系の新興宗教を名乗っていたことを忘れてはいけません。
仏教系を名乗る殺人集団が生まれたことを、仏教関係者は深刻に受け止めるべきでしょう。
あんなものは仏教ではない、と言うのはたやすいですが、イスラム穏健派の人々もイスラム過激派をあんなものはイスラム教ではない、と言って一顧だにしないわけですから、そういう態度では過激派や原理主義の膨張を防ぐことができないのは、自明の理です。
それが何教であれ、原理主義や過激派の発生を防ぐことは困難であり、発生してしまったら暴走を止めることがいかに難しいかを思わずにいられません。
ノルウェーの事件は、欧州諸国共通の問題であるイスラム教徒の移民が増加し、元々欧州に住んでいるキリスト教徒との間に深刻な対立が生まれ、出生率が高いイスラム教徒に国を乗っ取られるのではないか、という恐怖があるようです。
しかし元々移民受け入れを決めたのは労働力不足に悩む欧州諸国自身。
移民は奴隷ではない以上、豊かさや権利を求めて自己主張するのは当然すぎる結末です。
米国のような移民で成り立っているような国はともかく、欧州諸国やわが国のような、同質性の高い国では、移民受け入れは労働力不足解消の特効薬であると同時に、劇薬でもあり、パンドラの箱でもあります。
ノルウェーの事件はもちろん犯人一人もしくは犯人グループ一個の責任ではありますが、その時代的背景を考えるに、わが国が労働人口の減少を理由に軽々しく移民受け入れに舵を切るべきではないと痛感させられます。