このたび和食とその文化が、世界無形文化遺産に登録されることが決定したそうです。
私としては、わが国の誇り高い老舗料亭などがミュランガイドへの掲載を断るように、世界無形文化遺産なんてものに立候補しないで欲しかったですねぇ。
ただでさえ、鮨や刺身を異国の美食家が好むようになり、日本人の口に入りにくくなっているのですから。
で、以前、キムチとキムジャン文化も世界無形文化遺産の候補になっており、韓国では登録確実、と大騒ぎしてると報道されていました。
しかし、ユネスコから、キムジャン文化(キムチを漬ける際の伝統行事など)を候補としているのであって、キムチという食品を対象としているのではない、と韓国へ警告が出され、さらには、あんまり騒ぐとキムチの宣伝活動に利用される怖れがあるのでキムジャン文化の候補も取り消さなければならなくなる、とかなりトーンが上がっています。
そういう状況下での和食とその文化の登録決定ですから、半島の人々は面白くないでしょう。
でも多分、彼らは和食とその文化は朝鮮半島由来のものだと言いだすでしょうから、それならわが国の食文化が世界無形文化遺産に登録されたことを、起源の国として喜ぶのが道理かと思います。
中華料理は候補になっていないそうですが、変な箔を付けなくても、中華料理は世界を征服したと言ってよいでしょう。
世界中に、その土地に合わせて微妙に変化したにせよ、中華料理は普及しています。
しかもわりと安価に食べられます。
わが国でもそこいら中に高級中華料理店から、町の中華屋まで、溢れかえっていますね。
世界で和食といえば高価なものとされ、簡単には食べられません。
米国の刑事ドラマを見ていたら、夜中、車の中で張り込みの最中、刑事がハンバーガーを頬張りながら、相棒の刑事に、「お前は鮨を食ったことがあるか?ウニは絶品だぜ。おれはこのヤマが終わったら鮨を食いに行くんだ」と嬉しそうに話していたのが印象的でした。
ある事件が解決したとか、何か特別な時に食すというのが、米国庶民の和食に対する感覚のようです。
今回登録された和食とその文化は、高級鮨や懐石料理などより、一汁三菜などの、わが国の庶民が食してきた、本当の意味の食文化を主に指しているようで、それはなかなか大した眼力だと思います。
そうであるなら、異国の美食家のみなさんにおかれましては、高級魚を買いあさるようなことはせず、素朴な和食を味わってもらいたいものだと、切に願います。