四合瓶おじさん

その他

 例年ですと、元旦は昼から親戚宅で宴会ですが、今年は喪中のため、自粛しています。
 昼酒を飲まない元旦は、もしかしたら成人して初めてかもしれません。

 退屈で散歩に出かけ、元旦早々営業しているショッピング・モールに立ち寄りました。
 ここには、フード・コートがあります。
 私はフード・コートで飲食することは通常ありません。
 あまりに騒々しく、しかも出すものがことごとく不味いからです。
 私はフード・コートを餌場と呼び、蛇蝎の如く嫌っています。

 しかし、元旦ということで、人も少なく、静かで、しかも他に営業している喫茶店もないので、少し、フード・コートで休みました。

 ちらほら中高年男性が一人で酒を飲んでいる姿を見かけました。
 元旦早々何が悲しくてこんなところで独り酒を飲んでいるのだろうと思いましたが、人にはそれぞれ事情があります。
 もしかしたら家で飲むより気楽で良いのかもしれません。

 大抵は缶ビールか缶チューハイかワンカップを飲みながらたこ焼きや焼き鳥を食していましたが、強者がいました。

 日本酒の四合瓶をラッパ飲みしているのです。
 しかも、すでに空になった四合瓶が一本テーブルに置いてあります。
 つまみがまた驚きです。
 味噌ラーメン。
 味噌ラーメンを一本すすっては酒をラッパ飲みし、煙草などくゆらせてまた一本すすって、という具合。

 ラーメンというと通常存分に飲んだ後、小腹満たしに上がりで食うというのが定番ですが、その初老の男性は完全につまみにしていました。

 私のラーメン観を変える決定的な光景でした。
 同時に、何事も偏見の目を持って決め付けてはいけないと肝に銘じました。

 世の中は多様なもの。
 私の小さな常識や世間一般の常識など易々と乗り越える素敵な人が存在するのです。

 その初老の男性に、四合瓶おじさんと心の中で語りかけ、彼の一年が幸多かれと祈念しました。


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