すんごいですねぇ。
東京電力の海水注入、政府の意向で小一時間中断したという話でしたが、ここにきて現場の所長の判断でじつは海水注入を継続していたとか。
有り得ない二転三転ぶり。
これじゃあ誰も東京電力の発表をまともに受け取らないでしょう。
なんでも所長は本社に楯突く困ったやつで有名だったそうですね。
そんなに楯突いても所長でいられたのですから、理屈の通った反論だったのでしょう。
今回の注水継続は、現場を預かる者としてどうしても中断するわけにはいかなかったからだ、と述べています。
じつは現場の混乱をよそに、上意とばかり、頓珍漢な指示が天から降ってくることはよくあります。
そこで素直に従ってガタガタになることが明らかでも、組織人というのは従うのがルールです。
どうしても従えないと考えた場合、上司を説得して指示を変えてもらうよう働き掛けるわけですが、これがはるか雲の上から降ってきたとなると、途中に説得すべき中間管理職が10人もいたりして、とても時間的に不可能となって、ついには現場が指示を握りつぶす、ということが起こりうるわけです。
昔から直訴はご法度。
肝の据わった先輩など、赤がたっぷり入った原義書が戻ってくるや、何も直さず新たにペーパーを出力して原義書に添付し、決裁終了、と叫んだりしていました。
そのペーパーを三日後の会議資料にだしても、誰も気づかないんだから可笑しいというより怖ろしいですね。
帝国陸軍最大の失敗、インパール作戦は、起案した作戦参謀も決裁をした司令官も、失敗することを知っていながら、それを口に出すと臆病者と罵られるのを恐れて、何か言いたげにしたまま、作戦は実行に移され、帝国陸軍は壊滅的な打撃をうけることになりました。
杖をつき、飯盒一つをぶら下げた泥だらけの兵士たちが退却してくると、牟田口司令官は馬上から、「最高司令官に最敬礼せよ」と怒鳴りつけますが、誰も牟田口司令官に顔を向ける者はいなかったそうです。
上に立つ者が決断を下すのは、よほど難しいと見えます。
それが証拠に、国民から見ると国会議員はみな阿呆か馬鹿に見え、組織に属しているとその組織の上層部が間抜けに見えるのです。
まあ、下っ端で言いたい放題、やりたい放題してるのが気楽で良いというものです。
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土門 周平 | |
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