夏、夏、夏、

文学

 週末は梅雨の晴れ間。
 梅雨の晴れ間はもう夏ですねぇ。

夏、夏、夏、露西亜ざかひの黄の蕊(しべ)の 花じゃがいもの大ぶりの雨

 北原白秋の和歌です。
 大きな歌ですねぇ。
 夏の三連発、これ、反則じゃないでしょうか。
 蕊(しべ)とはおしべめしべのこと。
 それが花ジャガイモの大ぶりの雨に降り注ぐというのです。
 なんとも力強い、生命力に溢れた和歌ではありませんか。
 やや抒情的なイメージが強い北原白秋ですが、このような生命賛歌のような歌も詠むのですねぇ。
 ちょっと驚きました。

 打って変わって、北原白秋らしい和歌を。

病める兒は ハモニカを吹き 夜に入りぬ もろこし畑の 黄なる月の出

 これはまた、異様なまでに美的で繊細な歌ですね。
 病気の子どもがハーモニカを吹きながら夜の中に入っていく、そこはモロコシ畑で黄色い月が出ているというわけです。
 ハーモニカ、もろこし畑、黄色い月、小道具がすべて良いですねぇ。
 これは必ずしも夏の歌ではないかもしれませんが、私はあえて夏の歌だと読みたいと思います。
 だってこのシチュエーションで肌寒い時期ではやれんじゃありませんか。

 私も一つ、酔眼をぎらつかせて、伊達ハーモニカでも持って外をふらついてみましょうか。
 でも私の住む街にはそもそも畑なんてないし、月も鮮やかには見えないのです。

 東京脱出を図って千葉に越しましたが、千葉市くらいでは甘かったかもしれませんねぇ。

 もっと雄大な大自然に包まれて生きたいものです。

 もっとも私の同居人は、私のそんな憧れを、せせら笑うのです。
 田舎に旅行に行くとやたらとテンションが低くて、札幌や福岡、京都などの都市部に遊びに行くとテンションが上がるというのです。
 自分では田舎旅行も十分満喫しているつもりなのに、心外です。

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