夏寒し

文学

 昨日、今日とずいぶん涼しかったですね。
 台風の影響でしょうか。
 こう暑かったり涼しかったりすると、調子が狂いますね。

 人屑の 身は死もせで 夏寒し   

 正岡子規の句です。
 闘病13年の末に亡くなった彼には、病の苦しさを詠んだ句が多くあります。
 この句も、単に夏の涼しい日を詠んだというよりは、病のせいで夏ですら寒く感じられる、という凄絶な感じが漂います。

 よくお年寄りは暑さを感じにくいと言いますが、肺病病みもそうなのでしょうか。

 肉体的には健康な私には、この涼しさは天佑でした。

 
春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて すずしかりけり

 道元禅師
の歌です。
 冬をすずしいと表現しているのが面白いですね。
 いずれにせよ、四季のうつろいと、仏教的無常観を重ね合わせた名歌です。

 しんどくても夏は夏らしく暑くて過酷な、冬は冬らしく凍えるように寒い季節を味わうのが、自然の妙というものでしょうか。

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