夜行観覧車

文学

 昨夜は当代随一のストーリーテラー、湊かなえの「夜行観覧車」を一気に読みました。

夜行観覧車 (双葉文庫)
湊 かなえ
双葉社

 ある地方都市の高級住宅地。
 そこでエリート医師が妻に殺害されることから起こる、騒動を描いています。

 母が殺人犯に、父が被害者となり、大学生の長男、高校生の長女、末っ子の男子中学生は途方にくれます。
 そしてお向かいに住む両親と女子中学生の3人家族と、近所に住む老婆がからんで、物語はドロドロになって展開します。

 広大なお屋敷が連なる高級住宅地にあって、お向かいは普通のサイズ。
 高級住宅地に住むことに憧れた母親が無理に夫と娘を説得して建てた家で、母親にとっては家がすべて。
 中学生の娘は私立中学の受験に失敗したことから、住宅地の住人にバカにされているように感じ、ひどい癇癪持ちになり、週に何度も家庭内で大暴れ。

 老婆は老婆で、古くから高級住宅地に住む矜持からか、まわりに干渉します。

 隣の芝は青く見える、と申します。
 
 この小説には、嫉妬や怒りなどの感情がごちゃごちゃに詰め込まれ、いやぁな感じが漂います。
 謎解きとか本格ミステリーとかいったものではなく、家族や近所のいやぁな感じを描いた作品です。

 湊かなえという作家、後味の悪い、いやぁな感じを書かせたら右に出るものはいません。

 ただ、ラストがなんだか呆気なくて、そこが物足りない部分として残りました。


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