夜長

文学

 相変わらず残暑は厳しいのに、日は確実に短くなっていますね。
 私はほぼ定時で帰宅します。
 11月も終わりころになると、17時でも真っ暗なんですよねぇ。
 あれはなんだか厭な気分になるものです。
 やっぱり明るいうちに帰りたいですねぇ。

 一方秋の夜長を楽しむ不良どもが平安貴族。
 毎日昼頃起きてきて、深夜、牛車であっちの姫、こっちの姫と渡り歩きます。
 破廉恥なやつらです。

 
秋の夜も 名のみなりけり 逢ふといへば 事ぞともなく 明けぬるものを

 古今和歌集
に見られる小野小町の歌です。

 秋の夜が長いというのは名ばかり、あなたにあっていると、呆気なく夜明けがきちゃうんですもの、といった感じでしょうかねぇ。

 遊んで生きていた平安貴族に比べて、百姓や漁師は毎日が生きるか死ぬかの戦いであったことでしょう。
 そして平安時代、一般庶民が圧倒的多数。
 雅な和歌などに接していると、ではこの頃、奴婢はどうやって生きていたのだろう、小作農はどうやって生きていたのだろう、という疑問に駆られます。

 私たち安月給のサラリーマンは、いわば現代の水呑み百姓。
 最低辺を生きていることは、間違いありますまい。

 それならばなおさら、精神上の運動は、生きるために労働を強いられなかった人々と、同じ土俵に乗りたいものですねぇ。
 でも大分くたびれた中年になっちゃったから、難しいかな?

新版 古今和歌集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)
高田 祐彦
角川学芸出版

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