世界の大学ランキングというのが毎年発表されます。
ここで30位以内に入るのはわが国では東京大学だけ。
それも27位。
寂しいかぎりです。
それでも、アジアの大学では1位となっています。
いかに高等教育が欧米中心となっているかが分かります。
残念なのは、東京大学は論文の引用数では世界トップレベルにあるのに、総合評価では27位にしかならないことです。
留学生の受入れ数など、研究よりも教育分野で低い評価を受けています。
これは長いことわが国の大学教員が研究を重んじ、教育を軽く見てきた証拠でしょうねぇ。
しかし近頃、高等教育機関は広報や外部資金の獲得に熱心になってきています。
少子高齢化が進み、大学が淘汰される時代が近付いたためだと思われます。
平たく言えば、金を引っ張ってこられる教員と、学生に人気がある教員が生き残るということになりましょうか。
時代の流れとはいえ、地道に基礎的な研究をしている学者にはしんどいことになりました。
特に文学・哲学などの分野においては、いかに高名な学者といえども、外部資金を獲得するのは困難でしょう。
どうしても医学・薬学・工学など、利益に結びつく分野が有利です。
しかしそういった金になる学問も、金にならない分野の研究のうえに成り立っているはず。
もし金にならない学問を公的機関が補助しなければ、日本の高等教育及び学術は滅んでしまいます。
高等教育行政・学術行政を担う行政官は、そのことを肝に銘じなければなりますまい。