梅雨があけた途端、例年にない熱波がやってきました。
駆け回るのが大好きな小犬でさえ、猫のようにだらりんとしています。
日本は昔から夏が過酷。日本家屋も夏をしのぎやすいようにできています。
風鈴や金魚など、涼しくなるはずがないものにさえ、涼を求めようとしてきました。
その代表格が、怪談ですね。類似のものでは、肝試しにお化け屋敷。
怖くてひやっとする、というのですから、悠長なものです。
私は、幼い頃から怖い話が大好きで、不惑を迎えてなお、その悪癖は変わりません。
なにしろ7歳のときに初めて作ったお話が、「ドラキュラの歯はない」です。
その後も怖い話をよく作りました。
小学校の頃は、夏休みになると、「あなたの知らない世界」という安いテレビ番組を観ては、震えあがったものです。
幼年期から少年期にかけての私にとって、物の怪や幽霊は、実在するものでした。
古くは、あらゆる日本人にとって、妖怪や霊的存在は実在でした。
凶事が起きれば荒魂(あらみたま)を鎮めるために祈り、和魂(にぎみたま)を招魂して豊作を祈りました。
不遇のうちに亡くなった霊を恐れ、天満宮やら首塚やらを祀って、これを鎮めようともしました。
雨乞いに病気平癒、陰陽道に古神道。
いずれも大の大人が、大真面目に、ちょうど今のテレビコメンテーターが社会を解説するように、祈りもし、恐れもしたのです。時には禍々しい呪いも行われたことでしょう。
現代では、これらは迷信とされ、真面目に語られることはなくなりました。
しかし、我がくにびとが大切にしてきたその精神文化は、今も脈々と生き続けています。
都市伝説であったり、占いであったり、私の大好きなホラー映画や怪奇文学のなかで。
日本ではわずかな民俗学者が妖怪の研究をしています。
国際日本文化研究センターの小松和彦という学者は、堅いものから読みやすいものまで、物の怪や怪異を面白く解説しています。
また、怪異・妖怪伝承データベースを作成、公表しています。
なかなか興味深いデータベースです。ご覧になられてはいかが?
http://www.nichibun.ac.jp/youkaidb/index.html ⇒怪異・妖怪伝承データベースです。
![]() | 京都魔界案内―出かけよう、「発見の旅」へ (知恵の森文庫) |
小松 和彦 | |
光文社 |
![]() | 日本魔界案内―とびきりの「聖地・異界」を巡る (知恵の森文庫) |
小松 和彦 | |
光文社 |
![]() | 妖怪文化入門 |
小松 和彦 | |
せりか書房 |