今日は実話に基づくヘヴィな人間ドラマを観ました。
「孤島の王」です。
ノルウェーの孤島。
前世紀前半、ここには少年院が存在していました。
過酷な労働、貧しい食事、懲罰室、尊大な院長に、気に入った少年に性的虐待を加える寮長。
雪が舞う北欧の寒々しい光景のなかで、陰惨な日常が営まれています。
ある日、一人の少年がこの少年院に送り込まれてきます。
C寮の19番ということで、彼はC19と呼ばれます。
名前を奪い、番号で呼ぶのは人間の尊厳を奪う常套手段ですが、ここでもそれが行われています。
C19は反抗的な態度を崩さず、脱走まで試みますが、失敗します。
C寮のリーダーで卒院間近のC1はC19を更生させようと彼に接触します。
しかし、院長の部下の寮長がC5というひ弱な少年に性的虐待を行っていることを知り、義憤にかられて院長に直訴しますが、相手にされません。
数日後、C5は衣服にたくさんの石をつめて海に凍てつく海に入り、入水自殺。
ところが院長は、海を泳いで本土に脱走しようとして溺れ死んだのだと決め付け、本土から調査にやってきた理事にもそのように報告します。
しかしその数日後、寮長は大きなカバンを持って島を後にします。
寮長が罷免されたとしんじた院生たちは喝采をあげます。
C1がいよいよ卒院というその日、寮長が戻ってきます。
寮長は罷免されたのではなく、院長の命令で本土に出張に行っていただけだったのです。
本土にもどる船に乗ろうと言うその時、C1は怒りにまかせて寮長になぐりかかります。
結局C1は卒院が延期になり、C19とともに懲罰室に閉じ込められます。
それを見に来た寮長を格子ごしに羽交い絞めにし、鍵を奪って逃走。
院生たちはそれに呼応して手に包丁やスコップを持って少年院の職員たちに襲い掛かります。
ついに少年院を制圧。
院長室でふんぞりかえるC1とC19。
突如鳴った電話に出たC19は、「ノルウェー国王に孤島の王が話しがある」と言い放ちます。
翌日、ノルウェー海軍が島を制圧に来ますが、C1とC19は凍った海を歩いて渡って本土へ逃走しようと試みます。
映画の印象は、弱い立場の少年たちが権力者である院長らに暴動を起こすと言う内容で、少年たちに感情移入しやすくできていますが、忘れてはならないことがあります。
少年たちは全員凶悪犯罪を犯し、法に則って少年院に入れられているということ。
もちろん、現代の常識では少年院側のやり方はやり過ぎの感がありますが、1915年という時代背景を考えると、やむを得ない面があります。
それが当時の刑務所や少年院のスタンダードだったのでしょうから。
寒いというだけで、なんだかとてつもなく陰惨な雰囲気が漂います。
これが暖かい国が舞台だったら、全く違った印象の映画になったことでしょう。
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