今日の学士会館での会議、予想したとおり、予定調和的に何事もなく済みました。
実質2時間。
片道1時間20分でしたから、拘束時間は普通に出勤するよりもぐっと短く、得した気分です。
学士会館というのは旧帝国大学全体のOB会のような組織で、神田錦町にある本部には、会議室や宿泊施設、レストランなどが入っています。
建物は戦前の建築で、赤じゅうたんが敷かれ、天井がやたらと高く、レトロな感じの雰囲気のある内装になっています。
一階にあるラウンジには、なぜかいつもおじいちゃん達がたむろして、新聞や雑誌を読んだり、談笑したりしています。
旧帝国大学のOBなんでしょうかねぇ。
目の前にあるそば屋で昼飯を食ったのですが、スーツできめた痩身の老紳士が、鴨南蛮を食うときスカーフをナプキンのようにして首からかけて食っていました。
鴨南蛮を食うのに気取りすぎな感じがしましたが、きっとおぼっちゃま育ちなんでしょうね。
今は四年制の大学を出れば誰でも学士ですが、その昔は旧帝国大学卒業者にしか学士の称号を与えられなかったそうです。
早稲田や慶応など、私学の名門校でも駄目だったわけで、学士というのは権威あるものだったようです。
それに比べて今は就職先の無いポスト・ドクターがあふれかえり、博士号を取ってもなかなか常勤の研究職に就けないとかで、私の業界では頭の痛い問題です。
一つには博士号を乱発していることが理由かと思われます。
昔は秀才を称して末は博士か大臣か、なんて言って博士というのは大変な称号だったようですね。
でも今は、大臣になるのは大変なことですが、博士号を取るのはそれほど難しいことではなくなってしまいました。
私の知り合いにも、博士号を取ったは良いけれど、就職できずに浪人しながら非常勤講師などのアルバイトで食いつないでいるいい年をした研究者の卵がたくさんいます。
研究者というのは一度常勤の職に就いてしまえば安泰ですが、なかなか新規の募集はないし、専門が細かくなりすぎて、それぞれの研究者コミュニティは極めて小さく、コネクションを使うのも難しいようです。
いずこの業界も競争が激しくて大変ですねぇ。
それを思うと、研究機関の事務職というのは、気楽な稼業です。