怨歌と呼ばれる女の情念を不気味に歌って1970年代に大活躍した歌手、藤圭子が自殺とみられる変死を遂げた、とのニュースが飛び込んできました。
62歳。
現代日本では、早い死だと言わざるを得ません。
彼女の全盛期、私はまだ幼く、リアルタイムでの記憶はありません。
むしろ、宇多田ヒカルの母親としてのイメージが強いですねぇ。
藤圭子と言い宇多田ヒカルと言い、蛙の子は蛙と言うか、天才歌手の子は天才歌手になったのですねぇ。
藤圭子は早くから娘の非凡な才能を見抜き、教育に怠りなく、娘は15歳という若さでデヴューするや、たちまちヒットを連発し、日本を代表する歌い手になりました。
私も初めて娘の歌声を耳にした時、とんでもないやつが現れたものだと、びっくり仰天した記憶があります。
それだけに、母親の怪死はショックでしょうねぇ。
娘は母親を評して、「何をするか分からない人」と言っていたとか。
また、夫の宇多田氏とは7回も離婚、再婚を繰り返していたそうです。
夫婦喧嘩のたびに律義に離婚届を出していたんですかねぇ。
そうなると、役所の人も、またか、と思ったことでしょう。
今は離婚していたとのことですが、生きていたらまた再婚した可能性が高いでしょう。
1970年代が終わり、結婚して子育てに励むようになると、もう歌わなくなってしまいました。
才能ある歌手だったのに残念です。
残念と言えば、大人の歌手として絶大な人気を誇っていたちあきなおみは、1990年代の初め、夫を亡くし、以来歌わなくなってしまいました。
歌謡曲からブルース、シャンソンまで、なんでも歌える人で、しかも一人芝居のような情感こもった歌いっぷりは魅力的で、私は今も時折ユー・チューブで「黄昏のビギン」などを楽しんでいます。
一世を風靡した偉大な歌手が、自殺とみられる変死を遂げたり、夫を亡くして表舞台から去り、20年以上人前に姿をあらわさなったり、残念なことです。
しかしどんな大スターでも、一人の人間でしかないわけで、その魂がどのような葛藤を抱え、漂流を続けているのか、親子兄弟と言えども本当のところは分かりません。
藤圭子さんのご冥福をお祈りし、ちあきなおみの電撃的再デヴューを望んでやみません。