30代後半くらいから、明らかに仕事の手が遅くなり、凡ミスが増えてきたような気がします。
考えて見れば相撲でも野球でも、大抵は30代の後半には引退しますもんねぇ。
私たち事務屋で言えば、実務をやるのが選手で、管理職はコーチや監督のようなもの。
何も年を食って経験を積んだからと言って、とくだん判断力が磨かれるとは思いませんが、実務をやらせてミスを繰り返したりやたらと仕事が遅かったりしたら困るということで、30代後半から中間管理職へ、年を食えばさらにもっと上の職階に就いていくのでしょう。
そう考えると、私のように43にもなって下っ端でしこしこ実務をやるというのはまことにしんどいと言わざるを得ません。
今の私の立場は選手兼コーチみたいな感じでしょうか。
精神障害発症が36歳。
そろそろ実務者から職階が上に上がろうかと言う頃あいの発症で、その後再発を繰り返しては長く休んだりして、加齢による実務能力の劣化に加え、精神障害による事務処理能力の衰えも加わって、実務者として働くのは相当無理があるような気がします。
新人は頼りないものですが、見る見るうちに仕事を覚え、何事も素早くこなしているようで、私にはまぶしく見えます。
かつては私にもそういう時期があり、年配になっても実務をやっている人の手の遅さや物忘れの多さを密かにあざ笑い、天下を取ったような気分でいたものです。
因果は巡り、今は私が若い者から物笑いの種にされるようになってしまいました。
人間その立場になってみないと分からないということがあるものですねぇ。
その代り、少々のミスを犯しても落ち込むようなことはなくなりました。
大したミスではない、とか、人間誰でもミスを犯すものだ、とか、鷹揚に構えていられるようになりました。
若者からすれば、そういう反省していないように見える態度が余計腹立たしいのでしょうねぇ。
今では私はすっかり職場の嫌われ者です。
でも不思議なことに、それが意外と居心地が良いのですよねぇ。
もともと赤の他人である職場の同僚や上司に好かれたいと思ったことはないし、仕事というのは好き嫌いでやるものではないですからねぇ。
人の目が気にならないというか、どう思われたって構わない、という気持ちを持てるようになったことは、働くうえで随分楽になりました。
病歴から考えても、職場のトップを相手に弁護士を立ててパワー・ハラスメントによる謝罪と賠償を求めたことから考えても、私はおそらく定年まで実務をやるんでしょうねぇ。
面倒くさいことではありますが、責任が無いという気楽さもあります。
できないものはできないし、できることだけひっそりとやって行くしかありません。
それでも給料がもらえるのだから、こんな有難いことはありません。