寒い

文学

 大晦日の朝、非常に寒いですね。
 季節がくればきちんと寒くなるんですね。
 今年の夏の猛烈な暑さがなつかしいような。
 でも夏になれば寒い冬が恋しくなるのだから欲張りなものです。

去年今年(こぞことし) 貫く棒の 如きもの

 大晦日といえば、高浜虚子のこの句がとどめをさすでしょう。
  歳時記では新年の季語になっていますが、私の感覚では大晦日の深夜、新年を迎える直前のように思います。 
 俳句の範疇を超えた、一種の思想性を感じます。
 貫く棒とは、真理とも、自然の摂理とも、また、人間の感情とも受け取れます。
 貫く棒には年など関係ありませんものね。
 しょせん人間が決めただけのもので、お天道様は元日だからといって特別強烈な光を与えるわけではありません。

 私はただ、一般常識にしたがって、正月を祝うだけのことです。
 今日の私と明日の私が断絶するはずもありません。
 そして私は、おつむが少々いかれているので、今年を振り返って反省などしません。
 その時その時に良かれと思って行動なり発言なりした結果が現在ですから、良いことも悪いこともすべてひっくるめて自己肯定するのです。

虚子五句集 (上) (岩波文庫)
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虚子五句集 (下) (岩波文庫)
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俳句はかく解しかく味う (岩波文庫)
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