寒波

文学

  連日、日本列島に厳しい寒波が襲っています。
 北国は大雪。
 名古屋でさえ、積雪8センチを記録しました。

 首都圏では晴れてはいますが、冷たい北風が吹き荒れています。
 なんとなく、心も荒むというものです。

 
冬蜂の 死にどころなく 歩きけり  村上鬼城

 村上鬼城
は江戸時代末から昭和初期に活躍した俳人です。

村上鬼城です。

 恵まれた境遇ではなかっため、困窮した生活や人生の諦念、弱者や病気への苦しみなど、独特の倫理観で憐れみ、哀しみを詠った句が多いのが特色とされています。

 上の句、なかなか迫力ありますねぇ。
 冬の蜂の生への執着と、迫りくる死が、寒々しい冬の妖気とともに私たちを圧倒します。
 下手なホラー映画より怖いですねぇ。

 俳句という世界最短の定型詩が持つ力強さを想わずにいられません。

 
鷹老いて あはれ烏と 飼はれけり 村上鬼城

 
こんなことってあるんでしょうか。
 カラスと鷹を一緒に飼うなんて。
 ここにも、老いた鷹という弱者への視点が、不気味なまでに提示されています。

 冬は厳しい季節であるとともに、お正月やクリスマス、バレンタインデーなど、楽しい行事も色々あります。

 また、雪景色は都会でも田舎でも、世界は白によっておおわれ、幻想的な美的世界を現出させます。

 精神の荒廃を克服し、冬には冬の楽しみを満喫したいものです。

定本 現代俳句 (角川選書)
山本 健吉
角川書店

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