昨日、今日と抹香くさい書物を読んだせいか、その抹香の香りを消したくなり、今は亡き澁澤龍彦先生の「少女コレクション序説」を読み返しました。
この秀逸なタイトルを冠した評論集は、数ある澁澤先生の書物のなかでも、もっとも読みやすく、よく出来たものです。表紙及び口絵を飾る四谷シモンの少女人形も美しい。
「エロティシズム」・「エロス的人間」に続く、西洋耽美芸術の評論集の三部作をなす最後の作品です。
私は、これらを初めとする澁澤先生の評論集・小説を、高校生の頃、夢中になって読みました。
後に、私は日本の古典に回帰しますが、私の基をなした、懐かしい作品群です。
全集も出ていますし、文庫でも出ているので、ご一読をお勧めします。
小説では、「高丘親王航海記」がお勧めです。
いずれも、考えず、ただ感じればよい、真なる芸術であって、近代にいたって始まった神経症的芸術の極北をなすものです。
![]() | 少女コレクション序説 (中公文庫) |
澁澤 龍彦 | |
中央公論新社 |
![]() | エロス的人間 (中公文庫) |
澁澤 龍彦 | |
中央公論新社 |
![]() | エロティシズム (中公文庫) |
澁澤 龍彦 | |
中央公論社 |
![]() | 高丘親王航海記 (文春文庫) |
澁澤 龍彦 | |
文藝春秋 |