今日は尾崎紅葉祭だそうですね。
なんでも「金色夜叉」で貫一がお宮を足蹴にしたあの有名な場面は、1月17日だったからだそうです。
三島由紀夫の憂国忌や太宰治の桜桃忌、芥川龍之介の河童忌などに比べると、多分に商売のにおいが漂います。
ファンによって自然発生的に生まれた物というより、温泉旅館の旦那衆が客寄せのために寄り合いで決めたような感じがします。
当日は熱海の芸者が例の場面を寸劇にして演じたり、踊りを踊ったりしてお祝いするそうです。
しかし自分を裏切った女を若者が足蹴にしたことがなんで目出度いのかはよくわかりません。
熱海に人が大勢くることが目出度いんでしょうね。
尾崎紅葉と言う人、わずか35歳で亡くなってしまいましたから、長生きしたらどんな大作家になったか分かりませんが、後の自然主義文学や私小説の影響で、不当に低く評価されているような気がします。
華麗な雅俗一致の文体は、他に例をみない、ほとんど生理的快感を生むような名文ですし、巷間言われているような通俗的な作品ではないと思います。
仮にそういう面があったとしても、食っていけないような小説、もっと言えば誰も読まないような小説を書いたところで、それは自慰行為に過ぎないわけで、しかも自慰行為なら気持ち良いですが、小説執筆なんて苦しいばかりでしょう。
同じ苦しいなら儲かったほうが嬉しいですよねぇ。
しかもこの人、35歳の若さで亡くなったにも関わらず、泉鏡花、田山花袋、徳田秋声など、タイプの異なる後の大物作家を弟子にしているんですよねぇ。
多分面倒見の良い親分肌だったんでしょうねぇ。
小説なんて女々しいことはよして、実業界にでも転ずれば、大成功をおさめ、長生きできたかもしれません。
いずれにしても、熱海の皆さま、おめでとうございます。
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