屏風と食べ物屋

社会・政治

 老舗の料亭の女将曰く、「屏風と食べ物屋は広げると倒れる」そうで。

 近頃の一流ホテルや一流百貨店の食品偽装、目に余るものがあります。

 もっとも、彼らは判で押したように「偽装ではなく、誤表示」と言い張っていますが。

 しかし常識的に考えて、これだけ多くのレストランが誤表示を行っていたとすると、彼の業界にはおバカさんばかりが集まっているとしか思えません。
 偽装と考えるのが当然でしょう。

 一般に、一流ホテルや一流百貨店のレストランは値段が高く、それでも客が途切れないのは、一流と言われているからこそ間違いはないだろうという信用の上に成り立っているに違いありません。

 その信用が、根底から覆ろうとしています。

 和食とその文化が世界遺産に登録が決まったと喜んでいる場合ではありません。

 消費者庁は、食品表示法でこれを規制する構えだとか。

 民間企業が不祥事を起こすたび、なぜか行政の監督不行届きが問題視されます。
 一体民間企業というもの、お上に規制されない限り悪事に及ぶとでも言うのでしょうか。

 一時期、規制緩和ということが声高に叫ばれたことがあります。

 一方で規制緩和を求めながら、他方でお上の監督が甘いと批判するとは、マスコミの罪は誠に重いと言わざるを得ません。

 天に唾する愚行と言わざるを得ません。

 行政と企業は全く異なる行動原理のもとに生きています。
 企業は営利を第一とし、行政は法や規則に照らして正しいかどうかということを第一とします。
 そのため、企業はコスト削減や人員整理など、厳しい世界を生きています。
 一方行政には、コスト意識だの人員削減などの自らへの厳しさはほとんど無視しますが、正しさを追求すること甚だしいものがあります。

 本来であれば、両者が対等の立場で牽制し合うべきところ、不祥事が起きれば途端に行政は企業に強制力のある指導や罰を行わなければなりません。

 これは不幸なことであろうと思います。

 元々日本人は正直で勤勉であることを旨とし、実際日本人は信用ができるということで、世界でも日本人の評判は上々です。

 資源が乏しいわが国にあって、人材こそ最大の武器であることは、多くの識者がたびたび指摘しているところです。

 行政にも、個人や、時には組織ぐるみの不祥事が発生することがあります。

 この際行政に携わる者も、また民間企業で働く者も、このたびの一流ホテルや一流百貨店のレストランが引き起こした不祥事を他山の石として、おのれの日々の業務を深く省みる必要があろうかと思います。

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