種田山頭火の句集を読みました。
いわずと知れた自由律俳句の巨人です。
人生の後半を乞食坊主として、日本国中を歩き、句作を続けた俳人です。その精神には、芭蕉や西行とも違う、何か鬼気迫るものがあります。
風雅などではなく、漂泊そのもの、孤独そのもの、諦念そのもの、自然そのものが詠みこまれています。
それだけに、私には、山頭火の句が、恐ろしく感じられます。そんなこと詠んじゃっていいの、と問いたくなります。
例えば、
「生死のなかの雪ふりしきる」
「月が昇ってなにを待つでもなく」
「うつむいて石ころばかり」
「酒をたべている山は枯れている」
等の句。
反則ばかりです。
しかし、反則なのに、魅力的です。
私は、精神病を患い、ただ茫漠と日を送っていますが、山頭火は、ひたすらに生きました。私はその在りように、嫉妬を感じます。