崩れる

その他

 一週間前、義母が入居している施設内で使用している歩行器をすべらせ、転倒して骨折してしまいました。
 救急搬送されてすぐに手術となり、手術は成功したのですが、今後はほぼ車椅子生活になるそうです。
 ほぼと言うのは、トイレで便座に座るとか、わずかばかり段差がある所などは自力で歩けるだろうし、それだけでも介護する側にとってはずいぶん楽だということでした。

 現在義母は要介護2で、特別養護老人ホームに入る資格はありません。
 しかしケアマネージャーが言うには、今回の骨折で要介護3になると思われ、そうすれば特別養護老人ホームに入る資格を得られるだろうとのことでした。

 ただし、義母はそれを望んでいません。
 退院したら比較的元気な老人ばかりの現在の施設に戻りたいと懇願してきます。
 せっかく出来た人間関係を失いたくないようです。
 現在の施設が面倒見切れないと言わないかぎり居続けようと思っているようです。

 でも家族としては手厚く介護してくれる特別養護老人ホームに入ってほしいと思います。
 冷静に考えればそういう答えになると思いますが、人間には感情というものがあります。

 まして老人は感情が重要です。
 その感情を無視して特養に入れとは言えません。

 難しいところです。

 我が家は共働きなので、自宅での介護は不可能だし、どうしても自宅でとなれば、同居人は介護離職するしかありません。

 私たち二人だけの静かな暮らしは、一個の老人のために崩れ去ろうとしています。
 今義母は老いるということはどういうことなのか、私たちに強烈な印象をもって見せつけています。

 最後の教育です。
 この教育は私たち自身が遠くない将来に老人になるのだという自覚を促そうとしているかの如くです。

 義母のこれからの短いであろう余生をどう過ごしてもらえば良いのか、私には分かりません。
 義母の希望に応えつつ、私たちの生活の安寧を壊さないようにしたいと切に願います。