弁天小僧

文学

 近頃私は、仕事を終えて帰るなり、一杯やりながらユー・チューブで落語を楽しむのを常としています。

 お気に入りは、今は亡き古今亭志ん朝師匠
 爽やかな江戸弁と、すっとこどっこいな感じ、それに色気がたまりません。

 今日は珍しく、ユー・チューブで歌舞伎を鑑賞しました。

 出し物は、「弁天娘女男白浪 」
 
 尾上菊五郎、中村吉右衛門、松本幸四郎などが出演する、豪華な演目です。

 私はなにしろ当代の菊五郎が贔屓で、その姿、声、しゃべりを観ていると、うっとりしてしまいます。
 さすがに今となっては老いてしまいましたが。


 菊五郎は、声よし、姿よし、顔よし、で、難をつけるところが見当たりません。
 強いて言えばたっぱが低いことですが、それとて江戸っ子らしくてよろしく思えます。
 ウドの大木みたいな江戸っ子では、観ているほうが白けるというものです。

 何度か、歌舞伎座や国立劇場で菊五郎の芝居を観ましたが、私はもういっちゃいそうです。


 で、今日観た芝居は、さる大名のお嬢様に化けた菊五郎演じる弁天小僧が、仲間とともに呉服屋に騙りに入り、もう一歩で百両せしめようと言うところ、悪事が露見してしまうというシンプルなお話。

 弁天小僧がおのれの素性を明かす際、「知らざぁ、言って、聞かせやしょう」と言う名台詞は、誰もが知っているのではないでしょうか。

 その前に、お嬢様の格好をした弁天小僧が、悪事がばれたということで「あにぃ、もう化けちゃあ、いられねぇ。おいらぁ、尻尾を、出しちゃうぜぇ」というセリフが、いかにもチャーミングで、ほとんど生理的快感すら感じます。



 弁天小僧白浪五人男の泥棒衆の1人。




 白浪五人男です。  

 お嬢様から急にふてぶてしい泥棒の姿に変わる菊五郎は、見事でもあり、滑稽でもあり。 

 かつて江戸落語が繁盛した背景には、芝居を観たくても観られない庶民が芝居の代わりに落語に行ったとも言われています。

 そのため、今ではすっかり落とし噺が主流となった落語ですが、明治初期くらいまでは、芝居噺や怪談噺が人気を集めたと言われています。

 今、インターネットの普及により、落語でも歌舞伎でも、好きな時にユー・チューブなどで名演を楽しめるのは、じつに嬉しいことです。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ