心の底をたたいてみると

文学

 今週も月曜日を迎え、辛い一週間が始まりました。

 誰でもそうでしょうが、自己が認識する自分と、他者が認識する自分には、ずいぶんと差があるものです。
 私もそうで、日ごろから仕事をとてつもない困難な事業と感じ、終始必死の思いで仕事に向かっているのですが、上司からは、よく「易々とこなしているように見える」と評されます。

 それは私が精一杯虚勢を張って、格好をつけているだけの話で、仕事中、心の底は苦痛と悲しみで満ちています。

のんきと見える人々も、心の底をたたいてみると、どこか悲しい音がする。

 夏目漱石の名言です。

 どんなに生き生きとして元気そうに見える人でも、心の奥底には、悲しさを隠しているということでしょうか。

 悲しみが人間の本性だとしたら、人生は苦痛に満ちていることになります。

 しかし誰でも、生きていてよかった、最高に幸せだ、と思うことが、一瞬にせよあると思います。

 この一瞬を求めて、悲しい音を隠しながら生きているのが凡人というものではないでしょうか。 

 私もそんな凡人の一人です。
 心の底はひた隠し、今日も虚勢を張って生きています。

 そうしなければ、職場に行くということ自体が耐えられないのです。