憂国忌

文学

  今日は憂国忌

 三島由紀夫と森田必勝が市ヶ谷の自衛隊駐屯地で決起すべしと檄を飛ばすも、ほとんどの自衛官から罵倒され、切腹して果てた日です。

 同性愛関係にあった三島由紀夫と森田必勝の情死と解説する人もいますね。

 芸術家が狂気を孕んでいることは、多くの人が指摘していますが、あれほどシニカルで、冷静な筆致の作品群を生み出した三島由紀夫ですら、幻の美しい日本を求めて、狂気としか思えない自死を遂げるとは、芸術家というものの業を感じずにはいられません。

 45歳の若さで亡くなってしまいました。

 自決の日の朝書き上げたと伝えられる「豊饒の海」の第4部「天人五衰」も、その後狂気の自殺を遂げる人とは思えない、冷静な筆で、しかも読者をあっと言わせるような装置を仕掛けています。

天人五衰―豊饒の海・第四巻 (新潮文庫)
三島 由紀夫
新潮社

 彼の魂はいかなる変遷を遂げ、幻に殉じる覚悟を決める地平にまで辿り着いたのでしょうね。

 三島由紀夫は海外でも高く評価されていたため、切腹という時代錯誤な自殺方法は、わが国の評判を貶しめました。

 その後、緒方拳主演で「Mishima」という映画が日米合作で製作されています。




Mishima – A Life in Four Chapters
Ken Ogata,Masayuki Shionoya,Hiroshi Mikami
メーカー情報なし

 その演技は鬼気迫るものでした。
 三島の霊が緒方拳に乗り移ったかのようでしたねぇ。

 あの自決から43年。
 今もどう解釈してよいかわからない謎を、日本人の精神に残しています。

 もうとうに転生だか成仏だかを遂げているとは思いますが、ご冥福を祈らずにはいられません。

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