1999年の3月7日、私が敬愛してやまない映画監督、キューブリック監督が亡くなりました。
享年70歳。
もっとたくさん、イカレタ大作を撮って欲しかったですねぇ。
遺作となった「アイズ・ワイド・シャット」はただの上流階級の乱交パーティをさも重大な秘密のように描いて失望させられましたが、「博士の異常な愛情」、「2001年宇宙の旅」、「時計じかけのオレンジ」、「シャイニング」などは、いずれも素晴らしい出来です。
ただ人間性には問題があったらしく、某映画人は彼を評して才能豊かなクソッタレと言ったとか言わないとか。
「博士の異常な愛情」では冷戦下、核戦争の危機に怯える世界を舞台に、元ナチの原子力科学者を皮肉たっぷりに描いたブラック・コメディの名作でした。
「2001年宇宙の旅」は生命誕生の謎に迫り、ハル・コンピュータが静かに人間に対して反乱を図る姿が異常なまでの緊張感をよぶ、難解で哲学的な作品でした。
「時計じかけのオレンジ」は無軌道に暴力を繰り返す若者を描く前半と、若者を捕えて暴力性を喪失させる手術を施した後の若者の怯えぶりが見事な対比をなし、オチも見事でした。
「シャイニング」は私の一押しのホラーで、ジャック・ニコルソンの怪演が光る、スタイリッシュで美しく、そして怖ろしい、ホラー映画史に燦然と輝く名作です。
キューブリック監督はスピルバーグ監督と親交が深かったそうですが、意外な感じがしますね。
片や皮肉屋で人間の闇を描く芸術家。
もう一方はヒューマニズム溢れる、しかし退屈な、それでいて売れる娯楽作を製作する商売人。
互いが自分に無い物を求めたんでしょうかねぇ。

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