昨夜はボクシングの世界タイトルマッチが2試合もテレビ中継されました。
亀田興毅がバンタム級の二度目の防衛戦。
清水智信がスーパー・フライ級王者、カサレスに挑戦。
二人とも、判定勝ちしました。
亀田は3回にダウンを奪うなど、終始冷静に試合を進めいずれかのタイミングでKOを狙いましたが、相手も試合巧者、なかなか有効打が当たりません。
それでも3-0で判定勝ちしたのはさすがと言うべきでしょう。
このブログにはあまり格闘技の記事は書いていませんが、じつは子どもの頃から私は格闘技が大好きです。
最初はプロレス、相撲。やがてボクシング、マーシャル・アーツ。その後次々と生まれたK1とかリングスとかPRIDE、パンクラスなどの総合格闘技。
格闘技は、肉体を極限まで鍛え上げ、無駄のない筋肉が美しい肉体美と、やるかやられるか、という極限的な状況に身を置いて勝利を目指す精神的な美がかみあって、生身の人間とは思えない美的塊を生みだします。
人間と人間が殴る蹴る投げる締めるなどの原始的な技を駆使して相手を倒そうとするのは、いわば原初的な魂の運動に他なりません。
しかも、勝つためには冷静さを失ってはいけません。
燃える闘魂ではじつは駄目で、冷めた闘魂でなければ、勝利はおぼつかないでしょう。
三島由紀夫に「鏡子の家」という小説があります。
これは鏡子という夫人の家に集まる若者たちの物語を同時並行的に描いた青春群像劇ですが、その中に、ボクサーがいます。
彼は日本チャンピオンになって、多くの人から祝福を受け、マスコミは騒ぐのですが、それを冷ややかにみています。
この冷ややかに見る目こそ、拳闘選手としてのすぐれた資質を表しているといえるでしょう。
また、たけしの「キッズ・リターン」という映画では、ボクシングの才能を見いだされ、ボクサーとして歩み始めた青年が、悪い先輩の影響で練習をさぼりがちになり、脱落していく姿が描かれています。
同時に親友はヤクザの世界で頭角を表しますが、ちょっとしたことからリンチの末引退させられます。
この二人が母校の校庭を自転車でふらふら走りながら、
「俺たち、終わっちゃったのかなぁ」
「馬鹿、まだ始まってもいねぇよ」
というセリフを交わすシーンは泣かせました。
亀田興毅には、子どもの目から見てこの人は絶対に負けない、と思わせた具志堅用高が持つ世界タイトル13回防衛という快挙を目指してほしいものだと思います。
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