新八犬伝

文学

 さきほどNHKアーカイブスという番組で、1973年ごろ放送された人形劇「新八犬伝」の総集編を放送していました。

 江戸の戯作者、滝沢馬琴「南総里見八犬伝」を下敷きにしたものです。
 
 坂本九の語りがべらぼうにうまかったですねぇ。
 講談のようでもあり、浪花節のようでもあり、歌舞伎のセリフのようでもある、七五調の名調子です。
 坂本九というとポップスの大御所というイメージが強いですが、実際は三味線や長唄、民謡などで音楽を学んだとかで、本来は邦楽の人なんだそうです。
 だから講釈師も真っ青の語りができるんですねぇ。

 私は小学生の頃、子ども向けに現代語訳された「八犬伝」を読みました。
 江戸時代、大ベストセラーとなった伝奇エンターテイメントの大作ということで、非常に面白く感じました。
 山田風太郎みたいな感じですかねぇ。

 中学生になって、滝沢馬琴の創作の秘密に迫る「戯作三昧」という芥川龍之介の小説を読みました。
 こちらは文学作品ですが、芥川龍之介滝沢馬琴の胸中を推し量り、それに共感している様子がよく出ていました。

 私は6歳の頃初めて「ドラキュラの歯はない」というお話を広告の裏に書いて以来、たびたびお話を書いてきました。
 物語作者でありたいという願望は、今も私の胸にくすぶっています。

 しかし、私には物語作者として決定的な欠陥があります。
 アイディアは浮かぶのですが、それを地道に書いていくのが苦痛なのです。
 おそらく本当の物語作者は、その過程が楽しくてしかたがないのでしょうね。
 そうでないと日がな一日机に向かってはいられないでしょう。

 かくして、心ならずもサラリーマンとして生きる道を選択したわけです。

 誠に残念です。

 坂本九は残念なことに1985年8月の日航機墜落事故で亡くなってしまいました。
 43歳。
 今の私と同年齢です。

 北島三郎と同い年なんだそうで、生きていれば演歌のさぶちゃん、ポップスの九ちゃんということで、日本の歌謡曲の御大になっていたでしょうねぇ。

 その坂本九の名調子を聞けて、幸せです。

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