近頃、貧困ビジネスとか言って、生活保護から金をかすめ取るせこい窃盗が後を絶たないとか。
それは犯罪ですから取り締まりを強化するにして、生活保護の増大がリーマンショック以降急激であるのは間違いないようです。
とくに大阪市では、18人に1人が生活保護受給者で、年間2,916億円も計上しているそうです。
他の地域と比較するとその差は歴然で、日本全体の平均は1.57%なのに対し、大阪市では5.63%も受給しているそうです。
なぜ大坂市はこれだけ突出しているのか、あいりん地区など抱えているせいか、あるいは生活保護の申請に抵抗を感じない人が多いのか、よくわかりません。
大坂市は、生活保護特別区なる特区を設けてほしい、と国に要請しているそうです。
生活保護は、憲法で規定する文化的で健康的な最低限度の生活を担保する最後の砦。
これが崩壊する前に、少子高齢化に伴う労働力不足や、景気の安定を図らなければなりません。
それに加えて震災復興や原発事故対応でも金がかかります。
つい四半世紀前、世界は、YENが世界中の不動産を買いあさり、史上初めて、金の力でできた世界帝国を眼前にするのではないか、という恐怖におびえました。
ニュー・ヨークのエリート・サラリーマンは、半ば本気でニュー・ヨークのほとんどの土地が日本資本に買い取られる、と心配していました。
しかし、今。
おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。(平家物語)
そうであるなら、チャイナ・マネーも風前の灯。
閑話休題。
わが国が目の前にしている危機的状況を、どう打開すればよいのでしょうね。
長期的には定年延長、増税、年金給付の減額など、国民総貧乏化政策しかないような気がします。
高度成長期のような右肩上がりはもはや見込めず、国民は贅沢に慣れてしまいました。
パンとサーカスを求めて滅んだかつてのローマ帝国に、現代のわが国は似てはいますまいか。
美食と娯楽、それにファッション。
テレビをつければこの三つばかりです。
とりあえず食えている今が、いつまで続くかは誰にもわかりません。
震災後、都内のスーパーでも、納豆やヨーグルト、水、清涼飲料、パン、米などがきれいに無くなりました。
私はその光景に恐怖を感じました。
豊かなのが当たり前と思っていたのが、一旦ことあらば、水道も電気もガスも使えなくなり、飢えるどころか糞尿の処理にも困るのです。
国民総貧乏化政策、誰にも支持されないでしょうけど、坐して死を待つわけにはいきますまい。
国民一人一人が、すごく便利な生活を諦めて、ちょっと不便な生活に慣れることが求められています。
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中野 好夫 | |
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