春の雨

文学

 今日は朝から雨。
 予報では寒くなると言っていましたが、そこは春。
 それほどではありません。

  春雨や ものがたりゆく 簑と傘    与謝蕪村

 春雨のなかをおしゃべりしながら蓑の人と傘の人が歩いているのですね。
 二人は恋人同士でしょうか。
 あるいは友人。
 春雨という言葉と合わせると、何であれ、なんとなく色っぽく感じられるから不思議です。

  春雨や いさよふ月の 海半(なかば)   与謝蕪村

 これはまた幻想的な句ですねぇ。
 春雨のなか、出そうでなかなか出ない月が海に映えているというわけです。

 月を出しちゃって、しかもこういう風に詠まれると、もうぐうの音も出ません。

 お彼岸のお中日も過ぎて、確実に陽が伸び、暖かくなってきています。
 この時季、何がどうということもありませんが、気が焦る感じがします。
 何か新しいことをしなければいけないかのような。
 あるいは悪習を止めなければいけないかのような。

 こういう感覚は正月にもありますが、春にはひどい瘴気が漂うせいか、それが激しいような気がします。

 動物の発情期にあたるからでしょうか。
 動物はこの時季を逃しては自分の子孫を残せないのですから、それは焦るでしょう。

 その動物の本能がわずかに残っていて、人を焦らせるのかもしれませんねぇ。

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