春へ

文学

 気温は冷えて、雪国では雪が猛威をふるっているというのに、陽ざしは狂的な凶暴さを秘めて、春の力が勃興してきているように感じられます。

 立春は2月4日。

 まだ一週間も先なのですねぇ。

 春を待ち望む北国の方には申し訳ありませんが、私はもう少し、冷たく澄んだ冬が続いてほしいと思っています。

 春は瘴気に満ちて荒々しく、変に気持ちが沈みますから。

 雪ふれば 嶺の真榊(まさかき) うづもれて 月にみがける 天の香久山

 「新古今和歌集」藤原俊成の歌です。
 見事な雪景色を詠んでいます。
 
 でも私は、そのような見事な雪景色、見たことないんですよねぇ。
 柄にもなく、バブルの頃スキーに出かけたりしましたが、スキー場の雪は言ってみれば土俵のようなもの。
 雪景色を楽しむというのとは違っています。
 東京にも毎年雪が降り、降った直後はきれいだなと思っても、すぐに茶色い汚い雪になってしまうのですよねぇ。

 かといって、雪の北海道とか、雪の金沢や新潟にわざわざ雪景色を見に出かける気は起きませんねぇ。
 おっくう過ぎます。

 しかし時は残酷にすぎて、春愁の気が濃厚な季節が来るのですよねぇ。

 キャデラックより 春愁の 令夫人

 黛まどか
の句です。

 見事ですねぇ。
 春愁に襲われるのはお金持ちも一緒。
 いやむしろ、生活に汲々としている貧乏人よりも、春は有閑マダムを襲うのかもしれませんね。

 それなら生活に追われる私なんぞ、そう心配することもありますまい。

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